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壁崩壊20周年

 昨日11月9日は、約30年に渡ってドイツの東西を隔てていた壁の、崩壊20周年でした。ブランデンブルグ門では、各国の要人が集まり式典が行われたそうです。ファッションショーから国家の式典まで、今ではいろんな催しをやるようになったブランデンブルグ門。壁があった頃は東西冷戦の象徴たる場所でした。3年前、初めてブランデンブルグ門の下に立ち旧東側から西側を眺め、壁が壊れた時の旧東ドイツの人々の気持ちを考えてみました。とうてい理解しきれるものではありませんが、僅かの期間でもドイツに住んだ者として、少しでも想像してみなければいけないと思いました。
 東と西、人々の暮らしぶりは、表面的には全く変わりないように思えます。しかし、例えば車で走っていて旧東の街にさしかかれば、すぐにそれと知れるような雰囲気があります。建造物のみならず、人々のファッション、雰囲気、表情。どんなふうに違うかといわれてもひと言では難しいものですが、あえて言えば、西側にはすでにない懐かしい、ひなびたような、ゆったりとした雰囲気があるということでしょうか。。
 旧東ドイツ側の失業率は西側に比べて格段に高いといいます。旧東の都市ライプツィヒから12キロの小さな街クロースティッツ。その街でただ1軒のホテルに泊まった時のこと。宿をきりもりしているご主人と娘さん、2人で朝食の準備をしてくれました。何種類ものパンやハム類、ゆで卵、コーヒーにお茶。贅沢さはなくとも心つくしの朝食。西側の1泊部屋料金が朝食付きで平均90~100ユーロなのに対し、そのホテルは35ユーロ。せめて50ユーロにしてほしいとさえ思いました。ところが実際泊まり客は殆どなく、奥さまは西側のレストランに出稼ぎにいらしているとのこと。ご主人は、日本企業が旧東ドイツの土地にもっと関心を持って欲しい、と語ります。「大学をでても、どんなに勉強しても、仕事はない。これがドイツという国なんだ!」最後にそう言い放った彼の瞳が忘れられません。
 ドイツ在住の日本人の友人は、若いドイツ人が旧東ドイツのことを「あそこはドイツじゃないから」と言うのを聞いたといいます。「東西統一はまだ完全に終了してはいない」というメルケル首相のことばに、同感せざるをえません。一部のドイツ人の心の壁は、未だ壊れていないようです。




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2009/11/10(火) | ドイツの思い出 | トラックバック(0) | コメント(0)

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